All About Nitto

カスタムカーの本場アメリカから、逆輸入というかたちで日本にも広く浸透したブランド「NITTO TIRE」。ごく普通の乗用車やマーケットの中心となりつつあるハイブリッド車には目もくれず、あくまで「カスタムカー向け」を前面に押し出し躍進してきたそのブランドは、当初からストリートやサーキットなどの現場で直接ショップやユーザーの声に耳を傾け、製品にフィードバックするという独自のプロセスで唯一無二の立ち位置を確立してきた。本誌がメインに扱うピックアップトラックのファンはもちろん、すべてのカー・エンスージアストに知って欲しい、NITTO TIREのヒストリーとは__。

text by CTM  special thanks to ㈱トーヨータイヤジャパン NITTO販売  www.nittotire.co.jp

路面ばかりでなくユーザーの心をもガッチリと掴むラインナップが武器

 そんな「NITTO TIRE」が大切にしたのは、しかしユーザーが求めるサイズばかりではなかった。レーストラック(サーキット)でのテスト走行にも時間を割き、レビューを正直に書くマガジンのテスト記事でも好結果をマークするに至ると、ライバルの他社たちからも恐れられる存在になっていった。ハイグリップタイヤやドラッグレース用ラジアルなどもラインナップに加わるが、ここでも大型化するブレーキシステムに対応するホイールとマッチする大径サイズを用意するなど、市場のニーズへの対応が優先されている。
 現在の地位を決定づけた要因のひとつ、オフロードタイヤであるGrapplerの各シリーズの大成功も忘れてはならない。路面に残るトレッドパターンを印象的なものに、というコンセプトも課された開発には、ファイヤーフレイムスや恐竜をイメージさせる大胆なデザインを導入。これにはもちろん、デザートレースやオフロードイベントにスタッフたちが足を運んでリサーチする努力があった。
 Mud Grappler、Dune Grapplerといった一連のオフロードタイヤシリーズは、走破性とルックスのアピールを両立するタイヤとして、ショー会場での装着率も一気に上昇。プレランナーやサンデーオフローダースタイルが大流行した2000年代後半までには、どのシリーズにも豊富な外径と太さを用意した経緯がある。

 ストリート&パフォーマンス/オフロードともに、ひとめでソレと分かるトレッドデザインやサイドウォールのレタリングなどでも個性を主張してきた「NITTO TIRE」。カー・エンスージアストやカスタムカー乗りが圧倒的に多く、もちろんニーズに対しても厳しいアメリカ・カリフォルニアで育てられた「NITTO」は、誰も予測し得なかった成長を遂げた稀有なジャパン・ブランドなのだ。

現場の声やニーズに合わせることを大前提としたサイズ展開からスタート

 COOLなホイールを履かせたい。でも、それに見合うサイズのタイヤが見つからない……そんなジレンマに陥った経験はないだろうか? もしもストックのまま乗るクルマならば、そんな心配はもちろん無縁だろう。しかし、カスタムカーやクラシックモデルを楽しむ者ならば、愛車のルックスやパフォーマンスを大きく左右するホイールとタイヤのチョイスは妥協できないところだ。
 一大企業でありながら、一般ユーザーや街のショップの声に直接耳を傾けることで“市場が求めるものこそ、提供すべきもの”という方針を打ち出したタイヤメーカーがあった。アメリカのマーケットに打って出ることを目標に、ブランドイメージの確立に模索していた「NITTO TIRE」である。
 1993年、カリフォルニアの街でマーケティンングに勤しんでいたセールスマンが足を止め、耳を傾けたのは「とにかくサイズが欲しい」というカスタムショップの声。必要とされるものを用意する、と約束した彼は実際にステアリングの舵角やフェンダーとの干渉を入念にチェックしてサンプルを製作。その努力が、のちにカスタムカーシーンで圧倒的な認知度を獲得することになったという。
 「NITTO TIRE」のスタッフは、実際にカーショーやストリートにも足を運び、ユーザーたちの自慢の愛車の足元をチェック。生の声を集めることで市場のデマンドとデータを蓄積。当時ブレイクしていたスポーツコンパクト系を皮切りに、ピックアップトラックやモダンマッスルカーなどにマッチするラインナップを形成していったのである。そんな努力から生まれたのが「NT555」、現在では「NT555 G2」として進化を遂げラインナップされているシリーズ。“カスタムカーならNITTO”と認識された背景には、そんな歴史があった。

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