トレーラー牽引未経験者 初めてトレーラーを引いてみる

目次

750㎏以下のトレーラーなら普通運転免許で引っ張れる…法的にはその通りだが、技術的に運転できるかはまた別の話し。そこで、本当に牽引未経験でもいきなり牽引できるかのかを試してみた。

後退には練習が必要だがそれ以外は問題なく可能

 私、弊誌の編集をしているスズキと申します。18歳で運転免許を取得して以来、30数年。クルマを運転した距離は80万㎞を軽く超えています。80万㎞といえば、地球から月に行って、さらに地球に帰ってきた距離に匹敵します。その間、自動車雑誌の編集に携わっていることもあり、普通運転免許で運転できるクルマは、ほとんどのカテゴリーを制覇した、などと尊大な自負を持っていました。
 ところが、ここに来て、まだ運転したことがない種類のクルマがあることが発覚。そう、トレーラーの牽引です。ご存じの通り、車重が750㎏以下のトレーラーなら普通運転免許を持っているだけで運転できるのです。「これは運転してみなければ…」。ということでトレーラーを主力商品として扱う「インディアナ・RV」に協力を仰ぎ、トレーラーを牽引してみることに。
 まずはヘッド車のRAV4に、牽引するエメロード406を連結。助手席にインディアナ・RVのベテランスタッフに同乗してもらい、いざ出発。

ヘッド車:TOYOTA RAV4 PHV

システム合計出力306馬力のSUV

 トヨタのミドルサイズのSUVであるRAV4に、2500㏄エンジンをベースにしたプイラグインハイブリッドシステムを組み込んだ仕様。フロントとリアに別々の独立したモーターを搭載し、システム合計出力は306馬力に達する。フル充電で95㎞の距離をモーター駆動だけで走れる。

トレーラー:TORIGANO エメロード406

ボディの左側にあるエントランスや魅力的な機能と装備を満載

 フランスの名門ビルダー「トリガノ社」が、日本の道路事情に適した仕様として仕立てられたのが「エメロード406」だ。エントランスドアがボディの左側に設けられているのが特徴で、これは左側通行の日本の道路にマッチしている。また、コンパクトなサイズながら、4人の就寝を可能とするダブルベッドと2段ベッドに展開する2つのダイネットや、カセットガスを用いたキッチンシステムの搭載など、魅力的な機能や装備が満載されているトレーラーだ。


 クルマを発進させると、驚いたことに、クルマの後部に750㎏もの重量物を引っ張っているという感覚はまったくなく、単体で走っているのと何ら変わらないイメージ。それは速度を上げて行っても変わることはない。
 前方の信号が赤になったのでブレーキを踏む。頭の中のイメージとしては、前方に進もうとする慣性の法則に従って、トレーラーにヘッド車が押される感覚がやって来る、と思っていたのだが…この場面でもなんの違和感も感じさせることなく、クルマが停止。違和感なくクルマが止まるのは「慣性ブレーキ」によるものだ。これは、減速時にトレーラーがクルマを押す力を利用し、トレーラー自らのブレーキを働かせる装置で、その恩恵を初めて体験した。「慣れて来るとトレーラーを引っ張っていることさえ、忘れてしまうことがありますよ!」というスタッフのセリフもあながち誇張されたものではないと実感。
 全長が長くなると、曲がり角などで「内輪差」が生じると思いがちだが、今回のような大きさのトレーラーの場合、ヘッド車の通った後をそのままトレースするような軌跡を描くので、あまり意識せずとも曲がって行ける。ただし、内輪差がゼロではないので、交差点での右左折時には、ショートカットするような曲がり方は厳禁で、教習所で習ったように交差点の奥まで進入してからハンドルを切るという、クルマの運転の基本を守る必要がある。
 さて、一番の問題である後退だ。「試しにまっすくにバックしてみて下さい」とスタッフに言われたので、それを試したが、ハンドルのわずか数ミリの舵角が、後端のトレーラーには大きな影響を与える。車庫入れに関してはもっと慣れが必要。例えば左側にあるスペースに車庫入れしたい場合に、ハンドルを一瞬右に切ってバックし、トレーラーに左側に後進するきっかけを与えてから、今度は大急ぎでハンドルを左に切る…。ハンドルの向きや舵角がどのように作用するかは、練習の中から自分の体に覚えさせる必要がありそうだ。
 トレーラーの牽引は、想像するよりも難しくはなかった。ただし、バックに関しては、練習が必要だろう。インディアナ・RVでは、予約なしでスタッフ同乗の上で「試乗」できるそうなので、興味のある方は、まずは問い合わせてみよう。
「牽引免許」を取ってやろう、と目論見始めたスズキでした。

連結は確実に!

慣れれば簡単だが作業は確実に行いたい

 連結時の一連の流れは、ヘッド車に備えたヒッチメンバーまたはトゥバーのヒッチボール部に、トレーラー側に備わるボールカップリングと呼ばれる連結装置で繋ぐ仕組みとを被せるようにして両車を連結する。その後は、トレーラー側の灯火類をヘッド車と同調させるための電源カプラーの接続や、万が一の連結装置の破損に備えセーフティワイヤーをセットするという工程となる。順序さえ守れば意外にも簡単だが、ひとつひとつの作業を確実に行いたい。

取材協力:インディアナ・RV

☎0467-70-2729

http://www.indiana-rv.net/

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