最近、全日本ライダーの小玉エリカ氏が、様々な挑戦企画に参加している。
せっかくなので、小玉氏の専門分野でもあるトライアルを教えてもらおうという話が盛り上がり、今回の挑戦企画が立ち上がった。なかなかハードな地形でのチャレンジなのだ。
バイク企画第3弾!今度はトライアル
全日本ライダーに教えてもらうぞ!
普通に乗るのとは大違い トライアル競技は奥が深い
今まで、バイク系のアクティビティチャレンジで、モトクロス、廃道アタックと二つこなしてきた。最近、全日本トライアルレディースに参戦している小玉エリカ氏が本誌アウトドアスポーツ記事に参加してもらっている。これ幸いということで、今回の記事は現役全日本ライダーを先生に迎え、トライアルチャレンジ。
具体的にどんな内容を行うのかというと、奈良県の「生駒テック」という常設コースで、レンタルバイクを手配し、チャレンジ。当日のメンバーは、オフロードサービスタニグチのぐっさんに、ペニーレインの山中氏とその友人、4WDプロジェクトの西川氏、イメージオンの戸松氏、RAYSの堀内氏、筆者の友人の福留氏の7名。実は山中氏とその友人は、現役でトライアルを楽しんでいる経験者。バイクも自前。西川氏は前回の廃道チャレンジの後にCRF125を購入。自身のバイクを持ち込んだ。
トライアル競技というのは、マシンのポテンシャルが最重要と思われがちだが、それはハイレベルでの話。初心者が走らせる場合、重要なのはバランス感覚と体の動かし方。今回のメンバーは、バイク自体には乗り慣れている。(ぐっさん以外)しかし、トライアルでの悪路走破というのは、根本的に違う。ステップの踏み方から、ハンドルの持ち方、レバー操作のやり方、上半身、下半身の使い方など、レクチャーを受けているメンバーは、みんな「えっ?」という顔をしていた。今回は、短時間で、基本から、ちょっとした応用編までこなしたのだが、難しさと同じくらい楽しさを経験できるチャレンジとなった。ぐっさんの悶える姿を見れたし、筆者的にはオッケーかな。
今回は、私が先生で〜す!みんな、覚悟してね!!

この時点で、全日本トライアル第一戦、第二戦ともにお立ち台に立っている全日本ライダーの小玉エリカ氏。トップライダーが先生となってレクチャーしてくれるなんて、めっちゃ贅沢。参加者は、この後のハードな要求をこの時点では全く知らないのだ。
2輪トライアルに必要な道具


トライアル専用のバイクでは無いが、CRF125でも走ることは可能。タイヤに関しては、モトクロスタイヤではなく、トライアル用のタイヤを装着することで、コースを走行可能となるのだ。

トライアル競技では、視界確保のためにジェットヘルと呼ばれるタイプのヘルメットを被ることが多い。

怪我防止のためにブレストガードと呼ばれるプロテクターを装着。転けた時に、滑って怪我を防ぐためだ。

グローブには、しなやかで滑らないという性能が要求される。指先の感覚が鈍らないようにかなり薄手だ。

モトパンと呼ばれるズボンは、乗車体制で立体裁断された専用品を使う。熱がこもらない通気性の良い物だ。

膝カップは、怪我防止のための必須アイテム。転けた時膝を打つ確率がかなり高いためだ。

モトクロスのブーツと異なり、トライアルブーツはかなりしなやか。それでいてプロテクション効果が高いのだ。
2輪トライアルの基本を学ぼう!!
基本は、まず座学で始まる。各自の当たり前が崩壊するのだ!



自然体でバイクに跨り、そのままハンドルに手を添える。基本姿勢というのはこれだけのことなのだが、その際に、すでに乗っている人ほどクセが出るのだ。
まず、バイク経験者が多い事もあり、いきなり乗るのかと思いきや、座学が始まる。小玉氏曰く、乗っている人ほど、なんとなく乗ってしまって、本来の乗車ポジションなどを考えずに、自分が楽な姿勢で乗っているので、きちんとバイクが動かせないポジションとなっていることが多いのだそうだ。まずは、ステップに乗る時に、足の裏のどこで踏んでいるのか?ハンドルの持ち方、レバー操作の仕方など、普段乗っている人が全く気にしていないような部分からレクチャーが開始。参加者は、みんなそんな部分から教えてくれるの?と、びっくり。小玉氏のレクチャーはめっちゃ丁寧なのだ。
レバーの握り方一つでも違う


ブレーキとクラッチのレバー操作は、基本トライアル走行時には指一本で行うのが理想。ハンドルから手が離れないように、しっかりと握るのを優先しつつ、繊細な操作をする。
体の使い方は、初期の姿勢で決まる


くるぶしでバイクを支え、上半身には力を入れずリラックス。肘を外側に広げ、腕が柔軟に動かせるようにハンドルを握る。この姿勢が基本となる。
スタンディングスティル
ポジションがしっかり出来てる前提 これが全ての基本テクニック!

トライアル走行の基礎となる技術は、スタンディングスティル。これは、ステップに両足を乗せた状態で、静止するというもの。上記の基本姿勢をキープしつつ、最初はハンドルをフルロックし、フロントブレーキをかける。それでも難しい場合は、フロントタイヤに石などを当てるとやりやすくなる。小玉氏は流石の全日本ライダー。手を離したうえで、カメラ目線まで。ここで、ぐっさんの体幹の凄さを実感。小石があればいきなり成功させてしまった。しばらく全員がチャレンジを続け、小石さえあればなんとかできるようになった。このテクニックは、全ての基本となるので、ある程度ができることが前提となる。ポジションの大切さがわかるレクチャーだ。


極小ターン
簡単そうでかなり難しい 目線が超重要なのだ!
スタンディングスティルの体勢で、バランスをとりながら、ハンドルロック状態でのターンを行う。スタンディングスティルとは違い、バイクを走らせる為には、目線が重要となる。目線が近すぎるとバランスがとりづらく、進んでいく方向が定まらない。この練習で、自分で行きたい場所に正確にバイクを走らせることがとても難しいことが理解できる。


ポジションキープと、目線を意識しながらバランスを取りつつバイクを正確に動かすのはかなり難しい。つい、ハンドルを戻して大回りになってしまう。
ライン取りと段差
見た目の地形にビビると負け
萎縮せずに基本姿勢のキープと目線が大事



次のセクションで、いきなりうねった地形でのヒルクライムに挑戦。登りながら曲がるルートで、途中に段差があり、そこでアクセルを入れてフロントを軽く浮かせるようにしないとただの事故という感じになってしまう。小玉氏の走りを見ると、基本姿勢を正確にキープしながら絶妙なアクセルワークだけでステアケースを超えていく。肘の角度がきちんと外に向いているので、バイクのフロントが浮いた状態になっても腕で、動きを吸収して姿勢が崩れていない。ここまでの走りはなかなか出来ない。基本姿勢の大切さがめっちゃわかるセクションとなっている。
林道とステアケース
木の根は手強い勢いだけでは行けないのだ

今日イチ激しい走り
ある意味カッコいい!
RAYS堀内氏は、普段大型バイクに乗る猛者。勢いは一番だった!
今日イチの難所がここ。コースインして最初のステアケースがなかなか難しい。地形的な段差ではなく、木の根っこで出来た段差なので、タイヤグリップが悪く、厳密な地形で言うとオーバーハングになっている。フロントを事前に持ち上げて、リズミカルにリアタイヤを当て、きちんとアクセルを開けることでクリアできる。ここでも基本姿勢をキープすることが要求されるのだ。勢いだけではクリアできないセクション。結構難易度高めだ。
先生が正しい乗り方をレクチャー



基本姿勢をキープしながら、タイミングよくフロントを引き上げ、リズミカルにアクセルを入れていく。リアタイヤが当たった時にアクセルちょい開けがキープできれば超えられるのだ。素晴らしく綺麗な上がり方だ。
先生がダメな乗り方を指摘する!!


