キャンピングカーの快適化プロジェクト2

2024年3月11日

車体姿勢を整え走行性を快適化

「エアサスペンション」をキャンピングカーの乗り心地改善策として位置づけた第一人者といえばカーセールス・ワタナベ。同社ではワンランク上の快適性実現に向け、独自のノウハウを盛り込みながら各ユーザーの愛車に最適なサスペンションに仕立ててくれる。

良質で快適な乗り味と高い安全性を生み出す！

乗り心地や走行性能を悪化させる要因は、貨物ベース車特有のハードな突き上げ感や、車高が高いことによる大きなロールなどとさまざまなことが作用しているといわれている。

その改善策として、古くからキャンピングカーの乗り心地快適化に向け、絶え間ない研究を重ねてきたプロショップが「カーセールス・ワタナベ（以下CSW）」だ。

同社が考える乗り心地の悪化理由には、キャンピングシェルの架装や積載物による重量がリア寄りに集中するために起きる「尻さがり」が大きく影響しているとのこと。この状況では車体を支えるスプリングも重量負けしている傾向のため、前輪の接地性不足も引き起こすことがあるからやっかいだ。

その改善策としてCSWが長期間をかけ手がけてきたのがエアサスペンションシステム。構造的には専用に開発したオリジナルブラケットを介し、リーフスプリングの天面から上側のシャシーとの間にエアバッグを挟み込む形式で両者を連結。リアの車高を上げて正しい車体姿勢に矯正する。

これによりサスペンションのストロークを確保して、突き上げ感を防ぐと同時に、リーフスプリング車特有の揺り返しや周期振動を押さえ込んで乗り心地を改善！加えて全輪のタイヤをバランスよく路面に接地させる効果も生み出すことで、操縦安定性の向上にも働きかけるのである。

”快適化お悩みワード”

強風にあおられる
カーブでふらつく
下からショックがくる
運転が疲れる
クルマ酔いする
車内移動時に揺れが気になる

「尻さがり」が快適性＆操安性を低下させる

キャンピングカーはキャンプ道具の積載や人を乗せる機会も多く、尻下がりの姿勢になりがちだが、これがフロントタイヤの接地性不足をはじめとしたさまざまな問題を発生させる。そこでエアサスで車体姿勢を快適化！低下した走行性能の復元はもちろん、サスペンションストロークも確保できるので乗り心地の快適化も図れるのだ。

オーダーメイドで最高性能を実現

エアサスキットは、エアコンプレッサーを備えたコントロールキットとの組み合わせで積載量や乗員数に適切なエア圧調整を実現する方式で、付属のリモコンによって内部エア圧の微調整もできる仕組みとなる。エアバック本体は、カムロードをはじめとした車種で基本的にリアのみに装着する方式を取るが、重量級の大型モデルなどではフロントにもエアバックを追加する方法を提案している。

乗り心地が硬目なダブルタイヤのカムロードではリアに計4本のエアバッグを装着する。これにより大小さまざまな振動を効率よく吸収。

さらに性能を引き出すチューニングパーツ

まずはリアにエアバックを備え車の姿勢を修正し、ベース車本来の操縦感を取り戻す。ここからさらに各ユーザーの愛車の扱いに適したサスセットを構築するため、オリジナルセッティングの減衰力調整式＆ハーモフレック（ハーモフレックはKYB株式会社の登録商標）を搭載するショックアブソーバーやフロントスタビライザー、トーションバーなどを組み合わせるメニューも用意している。

オリジナルフロント強化トーションバー

※フルオーダーメイドのため価格は要問い合わせ

山岳路も走りイキイキ！車重がリアに集中する山岳路の登坂路でも正確なハンドリングを示すCSWサスペンション。運転のし易さはドライブ時の疲労軽減にも効果的だ。

トータルグレードアップでより快適に！

フルオーダーメイドで世界に１つのサスを実現

同社の足回り作りは各パーツを装着しただけで終わりではない。あくまでパーツは「一点の素材」として捉え、各ユーザー車に合わせたセッティングまでを含め、CSWサスシステムとして完成させるのだという。

快適化へのこだわりは実際にハンドルを握ってみるとより確かなものとなった。一言で表現するとキャンピングカーであることを意識させない操縦性と乗り心地が非常に印象的だ。

具体的にはピッチングやロール方向への姿勢の乱れも抑えてくれるので、修正舵を当てるような場面も減り、運転操作に余裕が生まれる。万が一の危険回避能力にも作用し大きなアドバンテージとなるだろう。一方、後席では揺れの少ないフラットな乗り心地により、終始快適に過ごすことができた。

気になる耐久性能面は「最長3年または3万KMのロングラン保証」がつくので安心だ。なお、基本的にオーダーメイドシステムとなるので、ぜひ一度、同社に問い合わせてほしい。

サスペンションをしっかり作用させるセッティングにより、軽快なフットワークを体感できる。加えて安定感のあるフラットな乗り味は、クルマ酔いの防止にも非常に効果的といえる！

エアサスの装着時には車両の重量を測定する”コーナーウエイトゲージ”を使い各ユーザー車の重量配分の状態をチェック。この数値を元に扱い方を加味しながら、乗り心地と操縦性を両立する状態にエアバックの内圧セッティングするのがCSW流サス作りのテーマだ。

自分たちが望む快適性を具現化したのがＣＳＷサスシステムだったと話す渡辺衆博代表（右から2番目）。キャンピングカーでのロングラン経験が豊富なスタッフがアナタの愛車に足元を最適に仕上げてくれる。なおエアサスを装着した試乗車も用意しているので、ぜひ問い合わせてほしい。

どんなモデルにも最適な足回りを構築する

バスコン、キャブコン、バンコンまで、対応する製品を揃える。なおエアサスやショック類を標準装備化したオリジナルバンコン”エアサスエースインプルーブ（真ん中）”も発売中。

百聞は一見にしかず！？年２ペースで試乗会も開催

同社ではオリジナルサスペンションの性能と効果を多くの人に感じてもらうために、体験試乗イベントも定期的に開催している。

試乗車はさまざまな愛車を持つユーザーの参加を想定しバスコンからキャブコン、バンコンまでを用意。エアサスシステムに、ショックアブソーバーなどのお薦めパーツも装着されているのもポイントのひとつ。また、試乗コースはクルマ旅に多いワインディングロードが中心なので、サスパーツの真の実力もバッチリチェックできるというわけだ。

次回の体験試乗会は2024年の春頃の開催を予定しているので、気になる方は同社のWebサイトをチェックしておこう。

試乗車はオリジナルエアサスを装着した4台。参加はWebサイトからの事前申請方式で当日は各種保険にも加入するので安心。

各車種用のエアサスキットをメインに、オリジナルのサスパーツ＆ブレーキ強化パーツも展示。渡辺代表から各製品の効果を直に聞くこともできる。

写真のようにCSWではサスパーツのほかに車両をしっかり止めるためのブレーキ用のカスタムパーツなども用意。よりいっそう、快適なクルマ旅を実現してくれるのだ。

CSW製エアサスによって限界域までのロールスピードも適正化できる。快適な乗り心地に加え操縦性の幅も広がり安全性も飛躍的にアップする！

ノーマルサスでは味わえない超快適な走りです！

かつてはスポーツカーでブイブイ言わせていたことからサス性能には人一倍うるさい鴨下さん。「横風などによる不安定感のほか特有の跳ね上げも一気に改善。私の愛車ではOS技研製LSDも装着していますが、コレも安定化パーツとしてお薦めです」とコメントしてくれた。

普段から仕事で小型トラックに乗っており、キャンパー購入後に同じ感覚で運転したところ走行性に不満が勃発。そこでCSWのエアサスを装着した。「安定性と乗り味の向上は期待以上。楽しい旅のツールとしてキャンパーには必須なパーツです」と話してくれた。

各社のノウハウが光る快適性向上サスパーツ！

このコーナーでは、キャンピングカーのベースモデルとして主流になっている、カムロードやハイエースを中心に各社のサスペンショングレードアップパーツをピックアップ。

ラインナップはご覧のとおり。キャンパー仕様からカスタム系まで網羅する豊富な製品を取り揃えるリムコーポレーションを筆頭に、カムロードのサスペンションの弱点を熟知し最適チューンを施すL.T.キャンパーズのほか、バンテックからもキャブコンに特化した設定を行なった製品が目白押しだ。

また、オフロード系のパーツを専門に手がけるジャオスは、ハイエースに流行りのリフトアップを施しながらも走りの快適性を高めた製品も用意。さらに各種モータースポーツ活動で得たノウハウを、キャンピングカーの乗り味改善策にフィードバックした、K-one社のパーツもある。

さらに、トイファクトリーが展開するハイエースバンコン専用設計のグレードアップパーツ「T-SR」ブランド商品にも注目だ。すべての製品は精度面や信頼性もピカイチなので、ぜひとも愛車の快適化の際に検討して欲しい！

サスペンションパーツカタログ

昨今ではサスパーツも豊富に揃い快適性を高めるのもかつてより容易になっている。ここでは各社自慢の製品を紹介する。

JAOS

ジャオス　☎ 0279-20-5511　https://www.jaos.co.jp/

前後の姿勢を適正化し快適性を高める
BATTLEZ リフトアップセット VFA　価格：192,500円（200系ハイエース用）
リア用のリフトアップスプリングとハーモフレックR機構を搭載した減衰力調整式ダンパーを組み合わせたサスキット。リア側を30～35mm高め前後姿勢を適正化し全輪の路面追従性を向上させる。

K-one

ケーワン・カーライフレボリューション　☎ 052-871-2055

リアショックにコイルオーバー構造を追加
ハイエース用 ACEONEコイルオーバー式リアサスキット（ワイド、ナロー対応）
価格：165,000円（ヘルパースプリングなし）／176,000円（ヘルパースプリング付き）

キャンピング架装や荷物を多く載せる車両に見かける「尻下がり」を解消するのに最適なリアサスキット。コイル式スプリングと車高調整機能により、前後の車高バランスの修正のほか乗り心地の向上も実現！

CAMPINGCAR PARTS CENTER

キャンピングカーパーツセンター　☎04-2936-6476

キャブコンにマッチさせた専用減衰設定
KYV Vサスペンション ADVANCE カムロード用1台分　価格：79,200円
減衰力調整機構は備えないが、ショックが作用し始める微低速域と常用域を補う2つの減衰可変機構を備え、走行状況に的確な乗り心地を生み出してくれる。なお、下の製品ともにシングルおよび、ダブルタイヤモデル適合品となる。

幅広い減衰調整機構でお好みの乗り心地に
KYV Vサスペンション 14段階調整式カムロード用1台分　価格：110,000円
純正品に対し内部容量を拡大しキャブコン特有の横風によるふらつきやロールを抑制。幅広い減衰調整機構により積載物の量や乗員数が異なる各ユーザー車に適した設定が可能だ。

RIM CORPORACION

リムコーポレーション　☎048-551-5061

大容量＆単筒式高性能ショック！
TAKUMI GHX MONO　価格：44,000円（200系ハイエース用／E26系キャラバン用）
単筒式高圧ガス（モノチューブ）を採用したショック。内部オイルの気泡の発生と真空現象を防いで減衰力を安定して発生させ、路面から入力を瞬時に吸収して安定した乗り心地を実現。

フワフワ感を抑えてハンドリングを向上
強化トーションバーシリーズ　価格：35,200円～（200系ハイエース用／E26系キャラバン用）
フロントの不安定感を抑制し走行性能をアップ。ハイエース対応製品では、純正比で約150%強度を高めた”強化タイプ“と同じく200%強度を高めた”ハイパータイプ“を用意する。

直進性と旋回性能をワンランクアップ
強化スタビライザーシリーズ　価格：33,000円～（200系ハイエース用／E26系キャラバン用）
純正品に対して径を太くすることで、剛性をアップしたフロントスタビライザー。これにより走行時のふらつき感を抑えて、直進性及び旋回性能を大幅に向上する！

L.T.CAMPERS

エル・ティー・キャンパーズ　☎0266-58-2211

カムロードのWタイヤ専用ショック
L.T.コンフォートサスJR　価格：152,900円（1台分）
L.T.キャンパーズがラインナップする強化スタビライザーにマッチさせた設定のカムロードダブルタイヤ用ショック。安定感になめらかなストロークを加えた引き締まった乗り心地を実現する。

キャンピングカーの天敵”横揺れ“を抑制！
カムロード専用強化スタビライザー(φ27）　価格：55,000円
重心が高いことで発生する横揺れやローリングを緩和するのがスタビライザー。この製品はパイプ径に極太の27φを採用し、積載や乗員の多い車両にマッチした最適セッティングを施した。

不快なノーズダイブをキッチリ抑える
カムロード専用強化トーションバー　価格：44,000円
フロントのスプリングに該当するトーションバーを強化することで、ブレーキング時などのフロントの沈み込みが低減。車体姿勢の乱れが減り、前輪の接地性が高まり安全性向上にも作用する。

TOY FACTORY

トイファクトリー　☎0574-63-0667

操縦安定性と乗り心地をアップ
T-SRアジャスタブル・リアスタビライザー　価格：83,820円
純正装着されていないハイエースにリアスタビライザーを追加するキット。これにより直進安定性や旋回性能が向上。また、車線変更時のふらつきも解消するので同乗者の疲労も軽減！

ふらつきを抑えて楽々運転環境に
T-SRフロント強化スタビライザー　価格：61,280円
ハイエースのフロント用スタビキット。純正品に対しワイドボディ2WD車で137％、4WD車で129％剛性を高め、架装時の重量増によるふらつき感などをキッチリ抑え込む。

T-SRショックアブソーバーオーリンズ[TOYチューニング］　価格：239,580円（1台分）
ハイエースキャンパーでの前後軸重配分の計測を厳密に行ないセッティングしたスペシャル品。20段階減衰調整機構を備え、走行状況や荷物の積載などに合わせた設定が可能だ。

貨物ベース車特有の乗り味をソフトにいなす
T-SR KYBラジカルショック[TOYチューニング］　価格：118,580円
KYB独自の「ハーモフレック®（周波数感応バルブ）」を備え、微振幅時の減衰力を最適に制御し突き上げ感を軽減。14段減衰力調整式により各ユーザー車で最適な設定ができる。