ミニバンやセダンに比べて乗り味が硬いのはなぜだ?
ロングドライブなどのように、室内で過ごす時間もとても長いことが考えられるキャンピングカー。それにもかかわらず、走行時の乗り心地はやや硬く快適性が今一歩だ。このコーナーではその要因をチェックし快適化への対策を練ろう。
丈夫さと引き換えに乗り心地はやや硬い
キャンピングカーに乗った大半の人々が走行性能面に対して受ける共通の印象は、乗用車やミニバンなどに比べて、硬さを感じる乗り心地や車体の揺れが大きいことだと思う。
しかし、これは多くのキャンピングカーベース車が基本的に商用トラックやバンを採用しているからいたし方ないこと。そう、なにより貨物車両が目指すところは、たくさんの荷物を積んだ状態でも安定して走れ、かつサスパーツの破損といったトラブルを徹底的に防ぐために高い耐久性を備えることを大前提に設計しているからだ。
例えば、キャブコンの主力モデルと言えるカムロードは小型トラックがベースとなる。またバンコンモデルベースに多く採用されているハイエースも同様に、サスペンションには人が乗る空間の確保と、たくさんの荷物を積むこと考慮し、フロントにスペース効率に優れるトーションバー式、そしてリアにはリーフスプリング形式を採用する。
いずれも大荷重に耐えることを目的としているので、人が快適に乗れる性能は二の次。ミニバン系などの独立式サスペンション構造に比べれば乗り味は劣ってしまう。また、キャブコンモデルではキャンパーシェルの架装により車高が高いことから、ロールやピッチングといった車体姿勢の乱れもおきやすく、乗員に不快感を与えてしまう傾向でもある。
とはいえ、昨今のキャブコンモデルでは走行性能を確保するため、積極的に軽量設計を採用したり強風の影響をなるべく受けにくいシェルデザインを取り入れるなど、さまざまな工夫を取り入れていることを付け加えておきたい。
このコーナーでは、それらメリットをキッチリ引き伸ばし、快適な乗り心地を実現するためのサスペンションメイクパーツと合わせ、ドライブ時の快適性、と合わせ向上パーツもクローズアップしていこう。
着座位置の高さが不快感を高めるひとつの要因
▲普通乗用車とキャブコンでは、運転席の高さが違う。それは路面からも高い位置にあることを意味し、重心が高いことでもあるので、クルマの揺れに対して乗用車よりも不快感を高めてしまいます。
▲ハンドルの操作感も乗用系車種に対しフワつきを感じることも。だがグレードアップパーツで改善可。
▲ブレーキ操作による車体姿勢変化も大きめ。とくに同乗者は動きを予知できないので不快さを感じやすい。
▲快適装備を標準装着する車両では重量増の配慮もしているが、後付けする際は慎重に検討すべし。
▲シェルサイドの上部に角度を設けて、走行風の影響を軽減したモデルもある。
▲ダブルタイヤでは安全性が高い反面、乗り心地はシングルタイヤに対し、ややハードな傾向だ。
- POINT1 重量を支えるために必要な強固なサスペンション構造
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耐荷重性能の高さを求めた商用車ベースのサスペンション構造が主流となるキャンピングカーのサスペンション。非常に丈夫な反面、「跳ね上げ」「揺り返し」「硬さ」などを伴う乗り味を発生させてしまう。
- POINT2 姿勢変動の大きさが、乗用車よりやや多め?
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車高が高い車両では重心位置も同様に上がっている。ロール方向のほかピッチング方向への姿勢変化も大きく、落ち着いて座っていることができず不快感を増幅させてしまう。また運転時の疲労も溜まりがちだ。
- POINT3 装備品の追加装備は計画的に行おう!
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車両購入後にエアコン追加や大容量バッテリー化などを行い、車両重量が大幅に増したユーザー車も見かける。装備の付け過ぎで車高が下がり、サスストローク不足によって乗り心地が悪化するケースもあるのでご注意を!
Front
キャンピングカーのベースは商用キャブオーバー型車が中心で、これらの車両では乗車スペースと荷室の積載容量を確保するためサスペンションもコンパクトに設計できるトーションバースプリング&ダブルウィッシュボーン形式の車種がもっとも多い。そのためミニバンや乗用車などのコイルタイプのスプリングを持つサスに対して、やや硬めな乗り心地を生んでしまうのだ。現在販売中の主力車種ではカムロード、ハイエース、コースター、キャラバンなどがこのサス形式となる。
Rear
リアも重い荷物の積載に耐える上で、最適な鋼板を重ね合わせたリーフスプリングタイプの車軸式半楕円板ばね式が大多数を占める。ミニバンなどのコイル式に比べ、周期的な振動を吸収しにくいので、後席乗員には突き上げや揺さぶりなどの不快感を与えてしまう傾向だ。また、タイヤと路面の接地性も劣るので、滑り易い路面でのトラクション性能もやや低い。とはいえ、現在各社がリリースしているパーツを活かせば、これら問題も大きく改善することが可能だ。
ブレーキのグレードアップも思案しよう
アフター品のサスパーツで走行性能が上がったら、確実に止めるブレーキパーツのグレードアップも行いたい。パーツ選びの際は、制動性能の高さはもちろんのこと、適正温度域が高いパーツをチョイスしたい。
ユーアイビークル製カムロード用パーツ。フロントはスリットローターによりつねにパッドをクリーン化し強化パッドの性能をフルに発揮。また、フロントの強化に合わせたリア用のブレーキシューも販売中だ。
乗り心地の改善に取り組み中
アネックス製モデルの直営販売店。次項で登場する足回りチューン済みのリバティなど、快適走行を可能とする案を提案してくれる。
道中快適化を促進!
スタビライザーは左右サスペンションをバーで繋ぎ、カーブなどで一方の車体が沈んだときにそのバーの反力を活かし車体の傾きを抑えるパーツ。だが背の高い車両には乗り心地の快適化にも高い効果を発揮する。
オールラウンドで快適性を底上げする!
古くからハイエースを中心に、乗り心地の快適化に向けたさまざまサスペンションパーツを開発してきた「ユーアイビークル」が、一押しするのがスタビライザーだ。
ハイエースと同じくカムロードもノーマルではフロントのみにしかスタビライザーが装着されていない。そこで、同社では専用に開発したブラケット類を用いてリア側にもスタビライザーを追加する方法を提案している。
「スタビライザー」と聞くと、コーナリング時に車体のロールを止める役割をするパーツだから、乗り心地の改善に本当に効くの?と感じる人もいるかもけれど、背が高いクルマでは真っ直ぐな道でも路面のわずかな凹凸や横風で前後左右方向に車体の姿勢が乱れやすい。同時にこれが乗員に不快感を与える要素にもなっている。ちなみに、車体姿勢が乱れた状況は左右足回りのストロークに差が生じカーブ通過時にとても似ており、スタビライザーの装着によって車体姿勢の安定化にも効果を発揮するのである。
乗り心地の悪さの評価基準は人によってそれぞれだけれど、命題の突き上げ感はもちろん、横揺れなどの動きを穏やかに吸収するよう働きかける。イメージとしては運転者には安定感のある操縦感覚、乗員には落ち着いてシートに座っていられる快適な乗り味を与えてくれるのだ。
さらに合わせて装着したいのが、ユーアイビークルオリジナルセッティングの「コンフォートショックアブソーバー」だ。
純正品に対し極太ケース&大容量オイル化を施し振動や衝撃を穏やかかつ効率よく吸収。フロント用には幅広い減衰調整機構も備え、重量差がある各人の愛車に最適なセッティングを可能とした。より快適なクルマ旅のひとときを提供してくれるのだ。
”快適化お悩みワード”
- 突き上げが気になる
- 横風にふらつきを改善したい
- 乗り物酔いをする
- ロングドライブで疲労困憊
- 高速走行をもっと快適に!
追加式のリア用スタビによって安定感が飛躍的にアップした、リアとのバランスにも配慮したフロント用製品。純正パーツ比で約140%剛性を高め、走行時のふらつきを抑制する。シングルタイヤモデル用リヤスタビに合わせた(タイプL)とダブルタイヤモデル用にマッチさせた(タイプH)を設定する。
専用ブラケットのほかスタビリンク類により、新規にスタビライザを備えるキット。シングル及びダブルタイヤモデル品を用意。不整路の走行が考えられるキャンピングカーへの装着を考慮し、ロードクリアランスを確保した作りも自慢。フロント用と同様、車検対応品だ。
リバティシリーズではスタビライザー&ショックを快適化オプションパーツとして設定。ロール&ピッチングが少なく安定した走りは、長旅での疲労軽減にも効果的!
上質で開放感溢れる室内空間が自慢のモデル。空力を考えたリアシェル形状など走行性能面も重視した設計を採用する。
後席もとっても快適です♪多くのキャブコンでは室内のレイアウト上、後輪の上の位置は座り心地の硬さを感じる場所。スタビライザーの装着で突き上げ感や横揺れが減、安定して乗車できるようになる。
UIビークルではタウンエース用スタビも開発中!
バンコンではフロットモビール、キャブコンではAtoZの協力によりタウンエース対応パーツもテスト中。正式発表は2024年初頭なので、オーナーの方は登場を期待して待とう!
減衰力調整はフロントに14段階を採用。一方リアは減衰力固定式とし、キャンピング架装の重量を支えながら快適性を最大限に引き出すように味付けする。しなやかに路面を捕らえる追従性と優れた乗り心地を両立した。