キャンピングカーで防災
災害時にキャンピングカーで避難
本当に役立つアイテムなのか
キャンピングカーが旅行だけでなく、防災の面でも役立つことをご存知だろうか。
近年、自然災害が頻発する中で、キャンピングカーを非常時の避難場所として活用する人々が増えている。
独立した電源や水タンクを備えたキャンピングカーは、災害時のライフライン確保に大いに役立つ。
さらに、移動が可能なため、安全な場所への迅速な避難も可能である。防災対策としてのキャンピングカーの利点、そしてなにが必要なものかを、実際の利用者に聞いてみた。
キャンピングカー最強説
有事の際、キャンピングカーの強みは、なんだと思いますか?
■ プライベート空間を確保できるから、プライベートの避難所として利用できる。
■ 他人に気を遣わずに寝られるし、オナラもできる!
■ 移動した先が家だから、いつも通りの生活ができる。
■ ソーラーパネルからの電源供給と、車両ごとの移動が可能(最強!)
■ 電力的に自立できるので、電力に余裕があれば、周りの人にも電力供給ができる。
■ 冬は暖房、夏は冷房を使える。
■ 車内にこもれるので、天気に左右されず、雨の日でも快適に過ごせる。

・ 普段からメンテナンスやサブバッテリーの管理、食料や水の備蓄を行い、家族を巻き込んで避難訓練をしているため、家族と協力し合って、即座に行動できる自信がある。
・ 過去にキャンピングカーでの避難経験があるので、適切に行動できる自信がある。
・ 普段から旅先の周辺の地理を下調べしているため、逃げられる自信がある。
・ 普段から備えや避難訓練を行っているが、大きな災害を経験したことがないため、いざというときに動揺してしまうのではないかと思う。
・ 車両性能や自身の運転技術に自信がないため、悪路での走行に不安がある。
台風発生時に、あなたのクルマやキャンピングカーが役に立った経験はありますか?

・ 昨年の台風で自宅が停電した際、自宅の冷蔵庫の食材をキャンピングカーに移し、クーラーをかけて涼しく過ごした。
・ 旅行先で、電源付きキャンプ場に滞在中に台風に遭遇。キャビンが満室だったため、キャンピングカーで過ごしました。電源があり、テレビも問題なく視聴できたので、台風が通過するまで快適に過ごした。
・ 週末に上陸予定の大型台風で、自宅が暴風圏内に。台風を避けるため、急遽クルマ旅をすることに。車高が高いので風による横転は本当に怖い。
愛車に備える、防災用品
ユーザーのリアルな事情を覗き見る

■ 友達になら非常食を分けられるが、家族優先が基本。
■ 平時のいまは、非常時の備えは家族を最優先としつつも、友人を助けたいと考えている。
■ そのときの避難生活の期間やローリングストックの状況によって、判断は変わる。
食品編



アルファ化米、乾パン、インスタント食品、レトルト食品、5年保存ようかん、5年保存ビスケット、チョコ、氷砂糖、塩飴、のど飴、魚肉ソーセージ、サバ缶、ツナ缶、フルーツ缶詰、マヨネーズ、フリーズドライ食品、レトルトご飯、餅、真空パックのパウチ食品類、プロテインバー、エナジードリンク、経口飲料水、缶のパン、ペットボトル飲料、ガム
衛生用品編

身体拭きシート、ドライシャンプー、歯ブラシ、石けん、除菌シート、ボディシート、処方薬、念のための市販薬、救急箱、アルコール消毒、マスク、耳栓、マウスピース、メガネ、生理用品、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、タオル
避難生活で考慮しなければならない点のひとつに、水が使えない可能性があるということがあげられる。たとえ飲み水を確保できたとしても、お風呂に入れない事態も想定される。その際に役立つのが、身体拭きシートやドライシャンプーである。また、水を使わずに歯を磨けるアイテムも用意しておくとよいだろう。
さらに、忘れてはならないのが、薬である。常備薬に加えて、ケガの際に使用する薬品なども準備することが重要だ。生理用品に関しては、怪我の際の止血に使った経験者もおり、かさばるデメリットさえ容認できれば、備えておいて損することはなさそうだ。
トイレ編


携帯トイレ、折りたたみトイレ、ポータブルトイレ、簡易トイレ、使い捨てトイレ
キャンピングカー用のトイレにはさまざまな種類がある。すぐに準備できるものとして、簡易トイレやポータブルトイレが挙げられる。折りたたみトイレのようにコンパクトに収納できるタイプもあり、車両や使用目的に応じて準備しておくとよいだろう。防災対策としてはもちろん、雨の日やトイレがない場所でも安心して使用できるため、キャンピングカーユーザーの多くが備えているようだ。
電気編

サブバッテリー、ソーラーパネル、発電機、ポータブル電源、ソーラーパネル付きモバイルバッテリー、懐中電灯、手回し充電式懐中電灯、ソーラーパネル付きランタン、乾電池、ライトの光を拡散させるためのビニール袋、頭につける懐中電灯(両手が空くように)
キャンピングカーにはサブバッテリーを積んでいる車両が多いが、災害時には走行充電ができない可能性を考慮し、ポータブル電源や発電機を備える必要があると考えるユーザーが多いようだ。また、充電のためにソーラーパネルを装備しているキャンピングカーも増えている。停電時の防犯対策として、ワンタッチで使えるスタンダードな懐中電灯を準備しておくことも重要だろう。
その他


簡易浄水器、季節ごとの洋服、消火器、多機能ナイフ、ロープ、現金、小銭、キャンプギア、カセットコンロ、カセットガス、使い捨てカイロ、防災セット、折りたたみバケツ、アルミシート、ガムテープ、軍手、ホイッスル、窓を破るためのハンマー、反射ベスト、雨ガッパ、暴風防水ジャンパー、アルミホイル、新聞紙、サランラップ、ゴミ袋(水を入れたり、ポンチョの様にかぶって暖をとったりするように)
キャンピングカーユーザーであれば、車内に常備しておきたいのが、季節ごとの洋服である。雨で濡れたり汚れたりしても、季節問わず車内に着替えがあることは心強い。消火器も忘れがちなアイテムだが、車内でカセットコンロを使用して調理する場合は必ず準備しておくべきである。キャンピングカーには燃焼式ヒーター(FFヒーターなど)が付いている車両も多いが、燃料不足や電力不足などで、ヒーターが使えないことも考慮しておく必要がある。
ペット用品編

ペットの1週間分のご飯、水、水飲み容器、おやつ、キャリーバッグ、ペットシーツ、おむつ、防臭タイプのゴミ袋、リード、処方薬、ブランケット、おもちゃ、ワクチン証明書、写真
キャンピングカーを購入したきっかけのひとつに、「ペットと一緒に出かけるため」という声が多く聞かれる。その際に準備しておきたいのが、ペット用のご飯と水だ。避難所ではペットのための用品配布は期待できないため、3日から1週間程度は備蓄しておくとよいだろう。また、ペットシーツはペットのトイレ用だけでなく、人間も使用できるので、ぜひ用意しておくことをおすすめする。
ローリングストックの考え
備えて安心、楽して安心

ローリングストックとは、日常的に消費する食品や日用品を多めに備蓄し、消費しながら定期的に補充する防災の備え方である。使った分を新たに購入し、常に一定の備蓄量を保つことを目指している。たとえば、缶詰やインスタント食品など、長期間保存可能な食品を普段から多めに買い置きし、消費しつつ補充することで、非常時にも新鮮な食品を確保できる。
キャンピングカーは、旅先での食事や生活を自分で管理するための設備が整っており、ローリングストックを実践するには非常に適している。
みんなが導入している、ローリングストックしやすい食品リスト


クッキー、せんべい、好きなお菓子、個包装のチョコレート、ゼリー、カップ麺、パックご飯、ふりかけ、レトルトカレー、お餅、スパゲッティ、そば、コーン缶、ツナ缶、フルーツ缶、栄養補助食品、ペットボトル飲料、豆乳、野菜ジュース、プロテイン、粉末スープ(飽きないように、数種類)、サプリメント
・ 東日本大震災のときは、被害が少なかった地域でも、スーパーで買える食材が限られた。(物流に詳しくないが、なぜか鶏肉と人参しか陳列されなかった……)
・ 実際に配給の列に並ぶ大変さを経験したから、ある程度は自分達でまかなおうと考えるようになった。
・ 熊本地震の際に、配給では欲しいと思ったものが手に入らなかった経験から。
・ 台風上陸のニュースで買い出しをしたが、停電の影響で冷蔵庫の物がすべてダメになってしまった。それ以来、常温で備えられる食料品をローリングストックするようになった。
・ 子供にアレルギーがあるので、避難所任せにはできない。
・ 災害の報道を目にして、発災から3日間は自力で乗り切る必要があると感じたから。
・ 人口が多い地域に住んでいるので、そもそもすぐに救助してもらえると思っていないから。
・ 実家が被災した経験から、自分達もローリングストックをはじめた。
・ 非常食を備蓄するようになったため、消費期限を問わず、普段から食べ慣れることが大事だと思ったから。
・ 自宅を新築した翌年、震災で床下浸水の被害にあった。キャンピングカー内のストックでしのげるように整えるようになった。
・ 毎度の積み込み積み下ろしが面倒だったので、自然とローリングストックになった。
・ ローリングストックを理由に、車内調理の手を抜くため(笑)。
・ 被災体験者から、赤ん坊〜子供用品が手に入りにくいと教えてもらったから。
・ ペット用品は、人間の物品よりも支給が相当遅いと、被災経験者から聞いたから。
キャンピングカーは、頼もしい存在?
キャンピングカーが役立った場面を教えてください
特に非常時や緊急時には、移動可能な避難場所としての役割を果たし、安心感を与えてくれるキャンピングカー。まさにキャンピングカーが持つ可能性は無限大である。
旅行の快適なパートナーとしてだけでなく、非常時には「移動できる避難場所」としての活躍も期待される。
キャンピングカーは、予想外の事態に直面したときにこそ、その真価を発揮するのではないだろうか。ということで、ユーザーのみんなに「キャンピングカーがあってよかった」と感じた瞬間を教えてもらった。

キャンピングカーは、災害時に避難場所として非常に頼もしい存在である。しかし、防災の備えをしていないと、その強みを最大限に活かすことは難しいかもしれない。普段の生活では、キャンピングカーがもたらす快適さや自由を存分に楽しんでいるかもしれないが、有事の際にはそれが命綱になる可能性もあるのだ。災害時に食品や衛生用品、トイレ、電源確保の方法などを備えておくことは不可欠である。
特に、ローリングストックの活用は、普段の消費を兼ねて防災用の食品を備蓄できる有効な方法である。常に新鮮な食料を確保し、非常時に備えることで、災害が発生した際にも快適な避難生活を送ることができるだろう。
しかし、備えがないまま災害に直面したとき、快適な避難生活が不可能になるばかりか、家族や自分の命を危険にさらすリスクが高まる。この特集をきっかけに、防災対策に取り組む第一歩を踏み出してほしい。いまからでも遅くはない。自分自身や大切な家族を守るために、キャンピングカーを最大限に活用できる準備を始めよう。
・ 真夏に雷で停電したとき、キャンピングカーに避難して涼しく過ごせた。
・ 避難警報が出たとき、まさに避難した。
・ 自然災害で鉄道の運休や高速道路の通行止めがあった際に、安全な場所で車内でゆっくり休めたとき。
・ 能登半島地震の際、まさに避難場所となった。
・ 旅先で地震が発生し、身動きがとれなくなった。とりあえず食料とプライベート空間があるので、落ち着いて行動できた。
・ 夫婦で交互にコロナに感染したとき、お互いに隔離生活を送った。
・ コロナ禍で、施設のトイレがすべて閉鎖されたとき、トイレ付きキャンピングカーでよかったと痛感した。
・ 高速道路が封鎖され、10時間その場にとどまる必要があったとき。
・ 渋滞がひどくて帰るのが面倒になり、サービスエリアで仮眠してから渋滞を避けて帰宅したとき。
・ 大行列の店に開店数時間前に行っても、涼しい車内で気楽に待てたとき。
・ 子供の受験の際。ホテルの部屋は子供の分しか取れなかったが、見守り隊の親は、車中泊で2日間の日程を見守られた。
・ 子供の受験の時、大雪警報が発令された。そのため、急遽試験会場近くに前日から前乗りして、試験に遅れることなく受験できたこと。
・ 犬連れのクルマ旅で雨が降ったときも、車内で自由に動けること。
・ 旅先が暑くて愛犬を避難させたいとき。
・ 買い物や観光で、ペットを車内に残していくとき。気兼ねなく空調を使えるので、安心度が高い。
・ コロナ禍で、動物病院の待合時間に、待合室で待たなくてよかったこと。
・ 天気が悪くても、車内の居心地のいい空間で、食事をとったり寝たりできること。
・ 旅先で昼寝をしたいとき。空調を効かせて、快適に寝られる。
・ 混んでいる飲食店でテイクアウトして、熱々を車内ですぐに食べられるとき。
・ 人気飲食店で、父ちゃんは列に並んで、嫁子供は涼しい車内で待機できること(感謝)。
・ 子どもの病院での受診時。
・ 病院受診の際、車内で寝て待てること。
こんな“備え”も教えていただきました!
本格的なシェルター

素材は「難燃発泡スチロール」でできており、とても軽量なのが特徴だ。発泡スチロールは98%が空気でできているため、とても軽く浮遊力がある。また、発泡した粒同士が密着して形成されているのでクッション性があり、外部からの衝撃を和らげる。さらに、家の断熱材としても使われる断熱性に優れた発泡スチロールなので、室内を快適な環境に保つことができる。内・外装は、米軍でも使用されている衝撃に強いコーティング材「ポリウレア」でシェルター全体を塗装している。(提供:友美さま)
備蓄品一式


有事の際に慌てないように、綺麗に必要と思われるもの一式を管理している。きちんと役割ごと(衛生用品は衛生用品でまとめ、車外で使うものと別ケース)に保管しているのがミソだ。(提供:光弘さま)
防災備蓄品・予備バッテリー一式

ポータブルバッテリー、折りたたみポータブルトイレ、非常食と、フルコースを用意している。味に飽きないように、複数種類の備蓄品を備えている。奥にはペットの見守りカメラも確認でき、普段から意識高く注意していることが垣間見える。(提供:kame3188さま)
備蓄品一式


非常食、衛生用品、スツール型簡易トイレを、用途に合わせてわかりやすく整理している。お風呂に入れない時にも慌てないように、身体拭きシートを備えているのも意識の高さがうかがえる。(提供:エルさま)
この記事は『キャンプカーマガジン Vol.106』より一部抜粋した内容です。
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