【第3回】失敗しないキャンピングカー選びの物語

連載第3回目のテーマは「電源の重要性」についてだ。ビギナーの中には、キャンピングカーは電気が使えて当たり前と思っている人も少なからずいるはず。 しかし、この問題はもっとも重要な事柄の1つなのだ。 

目次

電源の重要性 バッテリーの選択と充電マネジメント

今日は珍しくクーラーの中で昼寝をした。半分意識はなく、徐々に睡眠へと落ちていく……。また、辛うじて意識は残り、飼い猫が足元を抜けていくのをどこかで感じ取っている。 この状態……「うつらうつら」と表現するのだろう。

朧気ながら現実と夢物語が交差し、キャンピングカーで微睡む(まどろむ)自身をうっすら想像して。ん……、キャンピングカーってこんなに快適なのかなぁ?

居住空間や就寝時の「快適性」を吟味せよ

キャンピングカーのボディ形状(タイプ)やインテリア(レイアウト)を理解していく中 で、次に居住空間や就寝時における快適性が重要であると分かってきた。特にこの数年の暑さは半端なく、人間の命さえも奪ってしまう。自宅のようにすべてが揃ってしまうのもどこかつまらない気がするが、高温の中、車内で我慢大会のようなことは避けたいものだ。

万が一、倒れてしまったら誰も気づいてくれないかもしれない……と考えると、やはりクーラーは欠かせない。冷たい飲み物も当然必要になり冷蔵庫も必須となる。いやいや、夏だけの問題ではない、冬になればヒーターは必要で温かい飲み物も欲しくなる。つまり、夏暑く冬寒い日本では四季折々の装備(設備)が必要になるのだ。

それらをいったいどうやって動かすのだろう……。電源が必要になるのは理解できるが、今一歩エネルギー源が何なのかはっきりしない。この際、キャンピングカーのパワーソースについて調べてみよう!

エネルギー源は大きく分けて4種類

キャンピングカーには大きく分けて、自動車本体に補充するガソリンや軽油を主体とした液体燃料、停泊時に屋外から接続するAC100V(通称、外部電源)、キャンピングカー架装時に追加装備されるDC12Vバッテリー(通称、サブバッテリー)、加えて、小型ボンベなどを追加装備したガス(いわゆるプロパンガスなど)があり、それぞれキャンピングカーのタイプや装備に合わせて取捨選択されているようだ。

特にトレーラーなどは車両本体(通称、ヘッド車)から切り離されている場合が多く、 12V電源の補填がままならない。また、比較的スペースに余裕があるためガスボンベが主流となっ ている。

反対に自走式(エンジン付き)キャンピングカーは、エンジン始動でDC12Vを受給できるため、サブバッテリーなどが主体となり、AC100Vや液 体燃料が補助エネルギーとなっている場合も多い。

いずれにしても一択ではなく、車両サイズや使用環境に合わせ複合選択されている場合が多いようだ。

今度は装備別に見てみよう。 たとえば、ほとんどのキャンピングカーに装備される燃焼式ヒ ーター(暖房)は、燃焼式強制吸排気ヒーターを意味し名前自体に「燃焼」が入っている。つまり、ガソリンや軽油を燃やして熱源を確保する。

因みに強制吸排気とは、燃焼させるための空気や排ガスを車外から出し入れし安全を確保するシステムだ。シャワーなどの温水も同じシステムで作られる場合も多く、温風・温水などは 熱交換率が高い液体燃料に委ねている。

また、調理などで使用するガスバーナーは名前のとおりガスを使用するが、家庭内でも良く使われるカセットガスが選ばれることも多い。容量は限られるがコンビニなどで簡単に購入でき、容易に持ち運べるなどメリットも大きい。

電子レンジやエアコン(クーラー)、燃焼式ヒーター、冷蔵庫など、より快適なキャンピングカーライフを追求すると、電気などのエネルギー源の確保が重要になってくる。

最近、特に注目を集めているポータブルリチウムイオンバ ッテリー(左)。トレーラーは小型ボンベ(プロパンガス)を装備していることが多い(右)。

より多くの電気を得るため、鉛バッテリーをツインやトリプルで装備するほか(左)、リチウムイオンバッテリー (右)の搭載も増えてきた。

結局、バッテリーがもっとも重要

ここに記載した以外の装備 (設備)の多くはAC100V、またはDC12Vとなる。照明、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、クーラーなどなど、挙げたらキリがない。

もちろん、AC(交流)とDC(直流)は異なる電源ではあるが、比較的変換が容易であることは皆さんご承知のとおり。 ただ、ここでもっとも重要なことは、AC(交流)は電源として保管できないことである。

電気に詳しい方には無用の説明だが、ACバッテリーという物はこの世に存在しない(はず)。バッテリーはすべてDC (直流)なのだ。キャンピングカーに電源を確保するためは、 DCバッテリーを積まなければならない。

「クーラーが12Vバッテリーで動くのか!? 」という疑問が湧く方もいらっしゃるだろう。私も同感である。が、偶然にもその問題に救世主として現れたのがリチウムバッテリーだ。登場してから技術進化を重ね、この数年で手が届く(かもしれない)金額になってきた。

キャンピングカービルダーはバッテリーの限界に長年悩まされてきただけに、ひょっとしたらリチウムバッテリーの普及をもっとも喜んでいるのはユーザーではなくビルダー側かもしれない。いずれにしても「動く家」であるキャンピングカーにとってもっとも重要なのは電源。しかも、バッテリーであることは間違いないだろう。

バッテリーマネジメントと充電システムこそが真髄!

快適性を追加するためには、 高額なリチウムバッテリーを選ばなければならないのか? 答えはNO。リチウム一択が解決策ではない(と思う)。もちろん、鉛バッテリーに比べスペックは高いが、その分、バッテリーの環境管理が重要で、接続不良や管理不足でバッテリートラブルも発生しているようだ。

また、鉛バッテリーもここにきてかなり進化を遂げている。 あるメーカーが発売するバッテリーは極板の合金に希少金属を添加、電解液にナノカーボンを使用するなど、鉛バッテリーとしては驚異的な充放電力を叩き出すことで話題になっている。 しかも低価格。技術の進化は底知れない。

いずれを選択するにしても、 本当に重要なのはバッテリーの管理と充電方式の選択だ。キャンピングカーを購入する際、バッテリーの種類を気にする人はいても、充電方式を尋ねる人はまずいない。

バッテリーはマネジメントできてこそ本来のポテンシャルを発揮する。昇圧充電など、現代の充電システムは従来の比にならない。バッテリー、管理と充電、侮るなかれ。

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